【ICL検査】検査内容の解説、検査員が伝える知っておくと良いこと

眼科検査 ICL

ICLやレーシックを受けるための検査をこれから受けるにあたり、どんなことをするのか知りたい方や事前に理解を深めたい方に向けて、ICLやレーシック検査も業務の一部としておこなっている私が検査について解説します。

検査前にどんな検査を受けるのか、どんな風におこなわれるかわかっておいた方が良い事や、検査員に聞くべきことなどがわかりますのでぜひ最後まで読んでみてください。

【自己紹介】

眼科勤続年数・約15年の現役視能訓練士(国家資格保有の眼科検査員)です。

関東の端っこの小さい病院で日々検査業務からオペの準備等に関わっています。

ここでは眼科検査員である視能訓練士の立場から、ICLの検査について説明します。

ICL適応検査とは?

ICL適応検査とは、ICLの手術をおこなう前に手術の際必要となるデータを得るためにおこないます。

目的

目的として大きく分けると以下の2つの目的があります。

眼の状態を知る

眼の中にICLを入れるスペースがあるかどうかを調べたり、眼の疾患がないかを調べます。

スペースが基準より狭い場合、無理にICLの手術をおこなうと様々な眼の疾患を引き起こすことになりますし、眼の疾患がある場合もICLはお勧めできません。そういった眼の状態を調べます。

眼の度数を調べる

眼の中に入れるICLの度数を決めるために近視や乱視の度数を調べます。手術後の見え方の希望を聞きながら眼の中に入れる度数として適切かどうか判断しながら最適な度数を検査員が探していきます。

そして他にも眼の形や大きさなどの検査結果を計算式にあてはめてICLの度数を決定させるため、眼の度数を決めるための検査を視力以外にも複数おこなっています。

手術前に2回検査する理由

多くの眼科では2回検査するケースが多いように感じます。

✔1回目:ICLを入れて良い状態の眼なのかをざっくりと調べます。

✔2回目:ICLを入れる度数などについて細かく精査していきます。

精査するにも数時間かけて検査をおこなうため、1回目から精査をおこなってICLは不適応だとなると時間もお金もかかるので、まず1回目の検査で手術を受けられるかどうかの簡単な検査で判断してから2回目と進むことが多いようです。

検査内容

必要だと考える検査は医師によって多少違いが出るので、各眼科によって検査内容は異なります。

その中でも検査する可能性がありそうな項目をあげておきます。

レフケラノンコン視力コントラスト視力サイプレ
角膜内皮上皮角膜解析装置検査眼軸瞳孔径フレアメーター
ドライアイ眼底検査細隙灯検査

レフケラ

機械をのぞくと気球が見えてピントが合ったり合わなかったりする、よくおこなわれる検査のことです。これは視力検査のために遠視か近視、乱視などの度数を調べています。

ノンコン

先に述べたレフケラと同時におこなわれることが多いのですが、ノンコンといって眼圧を測定します。風が出てきてこの検査嫌いという方は多いのではないでしょうか?眼圧は眼の状態を知る大切な視標なので頑張って検査を受けましょう。

視力

レフケラで測定した結果を元に視力検査をおこない、どのくらいの近視や乱視の度数を入れると視力1.2が出るのかなどを詳細に調べます。このときに検査員と「手術後の見え方の希望」を話すことができますので、「目が疲れやすいので両眼で1.2が見えれば十分」や「ばっちり2.0まで見えるなら見たい」などの希望を伝えてください。

客観的に見てあまりに強すぎる度数を希望しても、よく見えるのですが目にかかる負担が大きすぎるので検査員や医師の立場からは良い顔をされないこともあります。

そういった見え方の希望と、専門的な知識から見た客観的知見をすり合わせてベストなICLの度数を決定していきます。

コントラスト視力

ICLの手術後に「コントラスト感度低下」と言って明るい所や暗い所で見えにくくなる現象が起こることがあります。そのため事前にコントラスト感度を検査して結果を調べておくことがあります。

サイプレ

「調節麻痺剤」と言って、ピント合わせの力を取り除き本来その人が持つ正しい近視や乱視の度数を調べるための点眼薬を指して調べます。

普段から物を見る時は多少なりとピント合わせをして見ていますので視力検査の時も無意識にピント合わせをしており、そのピント合わせを無意識に強くしている人は近視度数がおかしな値として出てくることがあります。そのため、視力検査後にサイプレという点眼薬をさしてもう一度近視度数を調べて差がないかを確認しています。

このサイプレという点眼薬は、人によっては2日くらい効果が持続し物が見えにくくなったり眩しさを感じます。

そのため、この効果が切れるまでは多少生活に影響しますし、車の運転は法律で禁止されています。検査受けに行くために来るまで眼科へ行かないように気を付けてください。

また、サイプレの効果が一番効いているのは点眼してから約1時間後です。

しかもサイプレ点眼後はできる検査が少ないため、検査の最後の方におこなわれます。

なので全ての検査をおこなうのに時間がかかります。

角膜内皮上皮細胞

眼の表面には細胞がありますが、手術前と後では多少減ると言われています。この細胞数があまりに少ない人は物が見にくくなる原因にもなるので手術は受けられません。そして手術前後でこの細胞数がどうなったか変化を確認しています。

角膜解析装置検査

ICL度数計算にも使用するためこの機械で眼の形を調べます。

また、中には一緒に眼の中のICLを挿入する部分にスペースがあるかどうかについて調べる検査ができる機械もあります。

眼軸

これもICLの度数計算に使用されるために、眼の長さを測定します。

瞳孔径

事前に瞳孔の大きさを調べ、手術の際の参考にすることがあります。

フレアメーター

眼の中の炎症具合を調べる検査です。医師が診察時に観察できるので検査としておこなわれないことも多いです。

ドライアイ

手術後ドライアイを感じる方が少なからずいますので、中には事前にドライアイの状態を調べることがあります。点眼薬で良くなる人や治療が必要な人もいますので、あまりにひどいドライアイがある人はまず治療が優先となる場合もあります。

眼底検査

もし仮に眼の奥の眼底という場所に何か問題があった時は、せっかくICLを入れても視力の出が良くないこともあります。ICLは疾患を治療するためのの物ではなく、近視や乱視以外に何も問題がない人に対してのものなので、眼底検査をして疾患がないかの確認をおこないます。

細隙灯検査

医師の診察時に、眼の中の表面からICLを入れるところくらいまでの場所の状態を見るためにおこなわれます。

検査項目が多くてびっくりするかと思いますが、どれも大切な検査ですのでしっかり受けましょう。

そして眼科検査のあとは血液検査だったり内科的検査もありますのでそのつもりで行きましょう。

ICL適応検査の時に知っておくべきこと

検査員はしっかり知識を持った人がおこなっている眼科がほとんどだと考えられるため身を任せて検査や診察を受けて問題ありませんが、検査結果を正確にするためには検査員の技術だけではなく手術を受ける方の協力もあるとより良い検査結果が出ます。

細かい知識は持ち合わせていなくても問題ないですが、ぜひ参考にしてみてください。

たくさん検査するので時間がかかる

検査項目をあげただけでもわかるように、検査種類が多くある上サイプレ点眼の検査をおこなうと軽く2~3時間くらいはかかると思った方が良いでしょう。

わざと時間をかけているのではなく、どうしてもそのくらい時間がかかってしまいます。なるべく前日疲れるようなことはせず、検査に集中できる状態でいておくことをお勧めします。

最後の方はうんざりして疲れてしまう気持ちもよくわかるのですが、正しい検査結果を出すためにも最後までお付き合いください。。

検査前のコンタクト外す期間は守る

検査前は何日か、もしくは何週間かコンタクトレンズを外すよう指定されるでしょう。

コンタクトレンズを装用する事で眼の形が変わり、検査結果に影響します。そのため、ソフトコンタクトレンズなのか、乱視用か、ハードコンタクトレンズなのかによっても外す期間が違いますので言われたとおりの期間はしっかり外すようにしましょう。

検査の時メイクはして良いのか

眼科によって違いはありますが、個人的には目の周りの濃いメイクでない限りは問題ないと感じています。

ただし検査によっては検査員にまぶたを上げられたりしますし、メイクが落ちて眼の中でごろごろして涙が止まらなくなったなとどいうことで検査結果が変わる可能性はゼロではありません。

メイクは控えめにしておくにとどめておくと無難です。

視能訓練士が検査しているか

必ず知っておかなければならないわけではありませんが、検査は視能訓練がおこなっている方がより専門的な知識を兼ね備えていますので安心して検査を受けることができます。

視能訓練士って何者?と思う方は、下の記事に紹介していますのでぜひ読んで知ってみてください。

まとめ

ICLの検査について項目や知っておくと良いことについてまとめました。事前に専門的な知識がなくても全く問題はありませんが、どんな検査をするのか知りたい人や不安に思っている人、検査に対しての疑問がある人にとって少しでも安心材料となりますように。

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