ICL手術を受けようと思っている方、実は年齢制限があることがご存知ですか?
そこでここではどんな年齢の方が適応か、適応でない人はどうしたら良いかを解説します。
適応年齢でなくてもICLでなく他の手術方法があったり、理解した上でならICL手術を受けることもできる可能性はあるので、まずはこの記事でICLと年齢について理解し、病院で相談してみてください。
【自己紹介】
眼科勤続年数・約15年の現役視能訓練士(国家資格保有の眼科検査員)です。
関東の端っこの小さい病院で細々とICL手術に関わっています。
最近は30代や40代の方のICL希望者が増加しています。そこでここではICLと年齢の関係について正しい知識をまとめてみます。
ICLとは
眼の中に「眼内コンタクトレンズ・ICL」を挿入して近視や乱視などを矯正する手術のことを言います。
この手術を受けることで裸眼で生活ができるようになり、普段からのコンタクトレンズのお手入れも不要・眼鏡などのわずらわしさからも解放されます。
**以下にICLについて詳しく記事を書いていますのでよろしければ読んでみてください**
ICLの年齢制限について
ICLは老眼のように「遠くが良く見えて、近くが見えにくくなっている」状態の人に合うための手術ではないため、老眼を自覚し始めるだろう人には手術適応にならないと判断されることがあります。
反対に若ければ何歳でも良いかと言ったらそういうわけでもないので、以下で詳しく解説します。
18歳以上であること
個人差がありますが近視は20歳頃まで進行していくと言われています。
そのため低年齢でICL手術を受けてもその後に近視が進み度数が合わず遠くが見えにくくなる可能性が出てくるので、20歳前後以下の方には手術をお勧めしない病院がほとんどです。ただし病院の意向によって設定している年齢制限は違いますので、それぞれ確認が必要です。
45歳未満であること
低年齢とは逆に今度は40歳前後あたりから老眼を自覚する人が出始めてきます。
遠くがよく見えるようにコンタクトや眼鏡の度数を合わせた状態で本などを長時間読むと以前より疲れ方が違うなどといった現象も老眼の始まりです。老眼は自覚する年齢に個人差がありますが、せっかくICLで遠くが見えるようにしても近くが見えにくく結局眼鏡を掛けなければならなくなったりするため、ICL手術を受ける年齢制限を40歳から45歳前後としている病院がほとんどです。
*ただし禁止事項ではないため、例えば50歳でも手術を受けることも不可能ではありません。
ICLと老眼について
ICLで遠くが見えるようになれれば良いので、老眼が始まっても気にしないという方もいるでしょう。でもまず老眼について知り、本当にそれで良いか考えてみてください。
老眼とは
まず老眼とは一体どういう状態なのでしょうか?
老眼の見え方の特徴は、コンタクトレンズや眼鏡などで遠くがしっかりと見える状態にしたときに近くが見えにくくなる現象です。
理由は、通常近くのものを見るために眼の中の「水晶体」という組織がピント合わせをしていますが、年齢を重ねるにつれて、人によっては40歳か45歳前後くらいから「水晶体」のピント合わせの機能が低下し、60歳前後でピント合わせの力はなくなると言われています。
もともと遠くが見えない状態で生活している人は老眼に気づきにくい事もありますが、老眼が起こらない人はおらず老化現象なので病気ではありません。
**以下に老眼についての記事を書いています**
ICLと老眼の関係
ICLは基本的には遠くが見えるようにするために、そのような度数の眼内コンタクトレンズを眼の中に挿入しますので、近くの見え方については考慮されていません。
近くを見るには自分のピント合わせの力が必要で、若い方は問題なくとも老眼の始まっている方や自覚ししている方はICL手術をうけることで遠くは見えるようになったとしても、近くは結局眼鏡が必要になってしまいます。
近視の方はもともと遠くが見えにくく近くが見えるので、近くが見えなくなるという感覚がいまいちイメージつかない方が多くいます。ですが、遠くがよく見える人は老眼を自覚しだすと不便を感じるくらい近くが見えなくなり眼鏡が必須となり、結局手術しても眼鏡が手放せない状態となります。
もちろん20代や30代の人もいずれ老眼を自覚し始めます。
ですがそれは手術を受けてから10年以上も先の話なので、ICLの恩恵をしっかり感じる期間が長くあります。
40代の方がICL手術を受けても満足できる期間はわずか数年なので、そのために手術のリスクをとる必要はないと、手術を断る病院が多いです。
ICLの年齢制限にひっかかったら
では年齢が原因でICLの手術を断られてしまったときはどうしたら良いのでしょうか。
未成年者の場合
焦って手術するよりも20歳を超えるのを待つことをおすすめします。むしろ22歳、23歳くらいまで待てるのであればそのほうが近視も安定し、手術後に近視が進んで度数が合わなくなってしまったといった事態は避けられるでしょう。
右眼と左眼で左右差をつけた度数を選択する
右眼で遠くが見えるように合わせ、左眼で近くを見えるようにするなどと左右眼で見え方をわざと変える方法があります。ですが左右眼で見え方がちがいますのでいわゆる「がちゃめ」の状態になり、違和感を感じたり遠近感が取りにくくなったりするリスクはありますが、反対に全く問題ない方もいたり個人差が大きい結果が残ります。
強くおすすめする方法ではありませんが、医師からこのような提案はされる可能性があります。
IPCLなどの老眼用ICLを検討する
ICLは遠くが見えるようにするものですが、遠くも近くも見えるように対応した「IPCL」といった老眼用のICLもあります。遠くも近くも見えるのであればこれを選択したら良いと思われがちですが、デメリットもありますし手術を受けられる病院も限られています。
こちらの記事で「IPCL」について詳しく書いていますので読んでみてください。
他の老眼対応の手術も検討する
ICLの老眼用と言われるIPCLだけでなく、遠近両用レーシックやインレイといった手術方法で老眼治療もできます。
遠近両用レーシックは、遠くも近くも見えるような度数のデータを機械に送り、その通りに眼の表面にレーザーをあてて矯正する方法で、レーシック手術の老眼用レーシックです。
インレイは眼の表面の角膜にインレイといった小さいチップのようなものを埋め込み、遠くも近くも見えるようにしますが、多くは片眼に受け込んでそちらの眼で近くを見るように設定する病院が多いように感じます。
これらも限られた病院でしか手術を受けられませんが、以下の記事で老眼の手術内容について書いていますので読んでみてください。
**自分がICL適応かどうか無料で検査してくれる病院を紹介しています。まず専門家にお話を聞いてみてはいかがでしょうか**
まとめ
ICLには年齢制限があり、必ずしも誰もが受けられる手術ではないこと、そして適応外だと言われたときにどうしたら良いかについて記事をまとめました。
見え方の悩みは多くありますが、少しでも疑問が晴れていくことのお手伝いができたら幸いです。
**ICLで失敗がないように、以下の記事も参考にしてみてください**